番外編~いつか見た怪獣①長すぎる前置き。
⑪珊瑚礁超獣完成。の続き。

 そんなわけでやっとこさ完成したので見せびらかす。
 振り返れば楽しい作業であった。前にも書いたが、俺としてはこの三体のまとめて発注ということでことさらに意欲をかきたてられた。例えばベロクロンやバキシムのみの発注であれば、ここまでの冒険はできない。もっと原典に寄せて怪獣のシルエットを残しただろう。いかにも怪獣然とした恐竜型の代表選手ブラックキングがど真ん中に陣取ってくれるからこそ、それがアリバイ工作的に作用して、昆虫型と岩石型で自由な発想が試せたわけだ。

完成披露いつか見た怪獣1

 まずは全員集合の正面から。もちろん発注者様が自由に飾って頂ければいいのだが、俺的にはこの配置がベストかと思われる。

完成披露いつか見た怪獣14
 集合背面。

完成披露いつか見た怪獣2
 漆黒龍王。まずはひざまずいて立体パースを見上げるがよし。

完成披露いつか見た怪獣3
 見上げるためにのけぞり気味に作ったので、ご尊顔は上からのぞき込まないとよく見えません。

完成披露いつか見た怪獣4
 竜王は背中で語る。

完成披露いつか見た怪獣5
 お顔のアップ。

完成披露いつか見た怪獣6
 牙蟲。このネーミングはもちろんバキシムのアナグラムででっち上げたのだが、もしかすると、創造者様はもともとキバ・ムシのアナグラムでバキシムの名前をつけたのではないか。そうだとするとこれはすごいことですよあなた。だって、おお、ひょっとしたらわしゃ図らずも創造者の創作過程をその発想の心理を含めてなぞってしまったのかもしれないじゃないか。戦慄を禁じ得ない。

完成披露いつか見た怪獣7
 牙蟲の背面。昆虫の禍々しさと美しさが表現できただろうか。

完成披露いつか見た怪獣8
 この人もやはりやや見上げ気味がベストショットか。

完成披露いつか見た怪獣9
 渾身の問題作とも言うべき、飛弾珊瑚礁・舌黒。群体だからして分裂体を背後に従える。

完成披露いつか見た怪獣10
 クリチャー的というか、間違いなく80年代のスプラッター映画の影響がある。作っているときは気づかなかったが、ちょっとシン・ゴジラぽくもあるな。そうか庵野監督も樋口監督もほぼ同世代であるから、エイリアンから物体XあたりのハリウッドSF映画は無視できなかったのだろうな。うむ。80年代のあの頃、ウルトラもゴジラもガメラも仮面ライダーも新作が途絶えた冬の時代。特撮好きを公言すると、ちょっと下の世代から失笑されたものだ。今はSFXの時代ですよトクサツなんて子供だましです、みたいに。だが今を見ろ。SFXも悪くはないがCG一辺倒で面白みがない。特撮はしっかり今も生きておりますぞ。「シン・ゴジラ」(2016年)の撮影現場でも、ゴジラはリアル作り物で全編を撮影していたらしいじゃないか。現場に参加したスタッフに直接聞いたんだから間違いない。その後CGに差し替えたとしても、やはり基本はトクサツなのだ。

完成披露いつか見た怪獣11
 背面のミサイル発射口。珊瑚が目立ちすぎて予定よりもミサイルが目立たなくなってしまったが仕方あるまい。そもそも人造物の造型は得意ではありません。ごめんなさい。

完成披露いつか見た怪獣12
 分裂体・口の子をa、目の子をb、ということにしよう。

完成披露いつか見た怪獣13
 正面顔からして絶賛分裂中。今更白状するまでもないが、物体Xをイメージしました。
 そんなわけで、やり遂げた感が半端ないが、これはなかなか得難い経験であった。発注者様に感謝しつつ、今後もこの方面の受注を受ける方向を検討するネンドソーであった。

番外編~いつか見た怪獣
①長すぎる前置き。
②いざ作る。
③では彩色を。
④いろいろ考える。
⑤岩石怪獣へのアプローチ考察。
⑥昆虫怪獣へのアプローチ考察。
⑦まずは昆虫怪獣から手を動かしてみようか。
⑧昆虫怪獣の彩色。
⑨珊瑚礁超獣への挑戦(考察)。
⑩珊瑚礁超獣への挑戦(実作業)。
⑪珊瑚礁超獣完成。