忙しさに、受注からえらい時間がたってしまった。合間を縫ってちまちま進めていた作業がやっと形になってきたので、ここらでまとめて中間報告。蟻地獄甲虫怪獣と高原竜については語るべきこと語りたいことがたくさんあるのだが、それはまた時間のある時に改めて書くこととして、とりあえず、作業中の写真を並べてみる。

ヒドラ1

 まずは高原竜。鳥怪獣はそれなりにたくさんいて素晴らしいデザインも散見されるが、あくまでも傍流であり、主流は爬虫類型というか恐竜型である。しかしながら、昨今では鳥こそ恐竜の末裔であり、恐竜自体が、トカゲよりはずっと鳥に近い見た目であったとされているわけで。そう考えると、怪獣ももっと鳥っぽくあるべきなのかもしれない、というようなことをもっと書きたいのだが、今はこの辺にしておくのであった。
 いつものアルミ線で全体の形を作る。

ヒドラ2

 わら半紙と荷造り用の麻紐で肉付け。

ヒドラ3

 樹脂製の紙粘土を盛って、芯が完成。

ヒドラ4

 割り箸にアルミ線を巻いて足と腕にする。

ヒドラ5

 麻紐を巻き付けて粘土の食いつきを確保。

ヒドラ6

 一方で、頭部の芯を樹脂粘土で作る。

ヒドラ7

 組み合わせてバランスを見る。

ヒドラ8

 腕とは別に背中に翼が生えるのが元デザインではあるのだが、翼は腕につけるのが正しいように思う。発想の飛躍が足りないとの指摘もあろうが、ご勘弁願おう。

ヒドラ9

 両腕を広げるとこんな感じ。

ヒドラ10

 アルミ線に粘土を盛って翼の芯を作り、そこに羽毛を貼り付けていく。

ヒドラ12

 頭部。樹脂粘土の芯に目を付ける。

アントラー1

 こちらは蟻地獄甲虫の芯。丸めた紙を樹脂粘土で覆って大まかな形を作る。

アントラー2

 甲虫の脚。元デザインは操演の都合で腕と脚が二本ずつだが、シナリオ表記には六本脚とあるらしいので、やはり今回は六本脚でいく。

アントラー3

 麻紐で粘土の食いつき確保。

アントラー4

 石粉粘土で外骨格と関節を表現しつつ、無数の棘を生やす。先に作っておいた棘を植えていく作業となる。

アントラー5

 棘の大きさや形状にバリエーションを。大きめで湾曲している棘はそのまま爪というか、手指にもなるのだ。

アントラー6

 棘を増やす。だってこの方がカッコいいだろう。やりだすと止まらなくなって、高原竜はほったらかして、ひたすら甲虫を進める。

アントラー7

 蟻地獄の大顎。クワガタにも共通するのは元デザイン通り。

アントラー8

 脚を胴体に取り付ける。腹部を作っていないのは、鳥に食われた場面を想定しているから。

ヒドラ13

 一方で鳥足も作ってみる。まずは爪をしっかり作る。

アントラー9

 こちらは甲虫の頭部。顎を取り付けてからバランスを見る。

アントラー10

 甲虫の胴体にも棘を植えていく。

アントラー11

 こんな感じ。

アントラー12

 ツノに粘土を盛る。二股ツノはカブトムシのものだが、これも元デザインに準ずる。

ヒドラ14

 鳥足。爪を基本に鱗をかぶせていく。

ヒドラ15

 頭部を石粉粘土で造型していく。

ヒドラ16

 とりあえず顔というか上顎はこんな感じだ。トサカはあとで追加する。

アントラー13

 甲虫頭部の内側を作る。まずは口だ。というかほとんど口だけだ。

アントラー14

 棘というか歯というか牙というか、を植えていく。

アントラー15


 二重目。

アントラー16

 三重目を植えつつ、上下にも牙を。

アントラー17

 さらにもう一重、牙を追加。

アントラー18

 さらにもう一列を外側に増やす。

アントラー19

 全体を整える。

ヒドラ17

 さて、鳥足。鱗を重ねて脛を覆う。

ヒドラ18

 もう一方の足も同じように作る。

ヒドラ19

 腹部を石粉粘土で造型。原羽毛を表現する。

ヒドラ20

 鳥足。

ヒドラ21

 両足完成。

ヒドラ22

 脛から足と同じく、首にも羽毛はない。これは羽毛恐竜もそうだったと思われるが、現生のダチョウも同じである。あとハゲタカも。ハゲタカの長い頚部に羽毛がないのは死骸に首を突っ込んで内臓を食うからだと言われている。

ヒドラ23

 S字型の長い頚部は、鳥と獣脚類の共通点だ。ダチョウもハゲタカも白鳥も長いS字の首を持つ。ティラノサウルスもヴェロキラプトルも同じ首だが、これは獣脚類の始まりと思われる三畳紀のコエロフィシスやエオラプトルにも見られる。何億年も前から続く特徴なのだ。

ヒドラ24

 高原竜にもS字を表現。前部に段々の鎧状の鱗を。

ヒドラ25

 逆に背面は単純な鱗にしてみる。

ヒドラ28

 トサカを造型。

ヒドラ29

 尻尾がかさばるので、思い切って短くしてみる。ザゴラスみたいだが、要するに飾り羽根的な尾羽にしてみようというわけだ。クジャクとまではいかないが、ある程度の派手さは現生鳥類の派手さから考えても恐竜にも怪獣にも必要なものだろう。

ヒドラ30

 翼を作る。これは芯であり、羽毛で覆う。腹部の原羽毛とは違う、正羽と呼ばれる、いわゆる軸のある羽根である。

ヒドラ31

 さて今回の新兵器。羽根スタンプ。

ヒドラ32

 ここに樹脂粘土を押し付けて、

ヒドラ33

 表面にも筋を入れて、

ヒドラ34

 ぺろんとはがすと、羽根の一丁上がり。

ヒドラ35

 これを作っては貼り作っては貼る。粘土自体の接着力に加えて、木工用ボンドを水で溶いて塗っておく。これで剥がれ落ちることはない。

ヒドラ36

 尻尾の飾り羽根はこんな感じだ。

ヒドラ37

 太腿から背中はもっと小さな羽根を作って敷き詰めるように貼り付けていく。

ヒドラ38

 そして翼には大きめの羽根を貼り付けていく。

ヒドラ&アントラー1

 これにて高原竜の完成。自立させるために軸足は台座に固定。

ヒドラ&アントラー3

ヒドラ&アントラー2

 俯瞰。

ヒドラ&アントラー4

 背面。

ヒドラ&アントラー5

ヒドラ&アントラー6

ヒドラ&アントラー7

ヒドラ&アントラー8

ヒドラ&アントラー9

 こちらは甲虫。頭部と胴体は繋げていない。

ヒドラ&アントラー10

 内側。

ヒドラ&アントラー11

 外側。乾燥させてから、水を含ませた布でこすってつやを出す。

ヒドラ&アントラー12

 こんな感じで組み合わせるのだ。