恐竜研究は日進月歩であり、新たな化石の発見で根本からひっくり返ったりして目まぐるしい。恐竜は骨盤の形で竜盤類と鳥盤類のふたつに大きく分類されるわけだが、この分け方にも近年異論が出ているようで、それはそれで恐竜の分類の根本が揺らぐ大事だったりする。

さてそもそも恐竜とは、この中生代に栄えた大型(から小型も含む)生物群であり、以前は爬虫類とされていたが、あまりにも特殊に進化し過ぎていてすでに爬虫類とは言えないようだ。鳥類は獣脚類の恐竜から進化したが、鳥を恐竜とは呼ばないように、恐竜も爬虫類とは呼べない。恐竜類とでも認識するのが正しいのだろう(ちなみに分類学上では鳥は恐竜であり、学術的に恐竜について語るときは「非鳥類型恐竜は」などといちいち「鳥以外」を明記しなくてはならないようで、それも何だかなあ)。

恐竜の特徴は骨盤から真下に伸びる脚にあり、そこが爬虫類とは決定的に違う(実は三畳紀のワニ類にもまっすぐの脚で立つ連中がいたが多くの場合なかったことにされている)。あとは羽毛があったり子育てしたりということになるのだろうが、さておき最初の恐竜は二足歩行で登場し、四足歩行種も二次的に四つ足に戻ったものらしい。だからトリケラトプスもブラキオサウルスも後ろ足でほとんどの体重を支えていたようで、四足歩行で進化を続けた哺乳類の例えばゾウやサイやカバとは骨格構造からして根本的に違うらしい。それこそトリケラトプスやブラキオサウルスの復元図はゾウやサイやカバを参考に描かれているが、実のところ全然違うのかもしれない。

ともかく、恐竜たるもの骨盤から真下に脚が伸びるべしという縛りのおかげで、首長竜や翼竜が恐竜とは呼べなくなり、出版社各社による恐竜図鑑で軒並み彼らの勇姿が隅に押しやられ場合によっては完全に姿を消しているのは淋しいかぎりだ(別に近年になってそう定義されるようになったわけではなく元々そうだったのが最近はそういう縛りをみんなが気にするようになった、ということらしい)。首長竜であるフタバスズキリュウのあの可愛いピースケが恐竜じゃないなら、二度もシリーズのトップを切って映画化された「ドラえもん・のび太の恐竜」(1980年公開・2006年新版公開)はどうするんだ。「ドラえもん・のび太の恐竜には分類されない海棲古生物」ではタイトルとして長過ぎるじゃないか。

と思いきや、今年2020年公開の新作ドラえもんは「のび太の新恐竜」とサブタイトルして最新恐竜学説にのっとった内容になっているらしい。降って沸いたような新型コロナウィルスの大流行で公開延期となった本作だが、出回るビジュアルを見ると鳥に進化寸前の羽毛恐竜が活躍するらしく、飛ぶ飛ばないで感動を仕掛ける展開のようで、それはいいのだが、ああ、ここでもまた首長竜が恐竜枠追放の憂き目にあっているじゃないか。

しかしまあなぜピースケがフタバスズキリュウだったかと言えば、最初の原作漫画が描かれた(初出短編の雑誌掲載は1975年)当時、フタバスズキリュウ化石発見の大ニュース(1968年)の興奮が冷めやらぬタイミングだったからに他ならず、双葉層から高校生の鈴木くんが日本初の恐竜化石発見! って、そりゃ大ニュースだし子供は大喜びで(当時の恐竜図鑑には必ず記事が載っていた)子供目線を大切にするかの藤子不二雄大先生が漫画のネタにしないわけがない。そのように時代とともにあるべきドラえもんで最新科学を扱わないわけにはいくまい。確かに近年立て続けに発表される最新恐竜学説には大人も心ざわつかされるくらいだしな。

海竜伝説1

こちらもピースケと近種のプレシオサウルス。イメージ元の映画「恐竜怪鳥の伝説」のタイトルも今やタイトルに偽りありだ。

ネンドソー的恐竜考③ そしてジュラシックパーク!に続く。


◇恐竜名鑑