映画の話をするならスピルバーグ監督の「ジュラシックパーク」(1993年公開)シリーズにも触れなくてはならない。実際、恐竜図鑑やメディアに登場する復元イラストや復元CG映像から、メーカー各社から発売される恐竜フィギュアに至るまで、どれほどかの映画の影響を受けているか。まあ確かにスゴい映画ではあり、現代の若き恐竜学者の多くが映画をきっかけに学者を目指したというし、その意味では恐竜学会への貢献も絶大だろう。しかし問題もある。近作における学説無視がはなはだしいという突っ込みがあるようだ。

もちろんたかがエンタメ娯楽作品ではあるのだが、それでも第一作目には「最新映像技術で最新恐竜学説を」という製作姿勢があったはずなのだ。古生物学者を何人も呼んで恐竜の能力や外見上の特徴などをアドバイスさせたりチェックさせたり、デザインや作劇上の展開についていちいち最新学説に基づくように気を配っていたようだし。ところが近作の「ジュラシックワールド」(2015年公開)と続編「~炎の王国」(2018年公開)では、ここ三十年間の研究成果をすっきり無視して古色蒼然旧態依然の90年代ふう恐竜ばかりが活躍する。今やティラノサウルスもヴェロキラプトルも羽毛に覆われていたことになっているし、関節の付き方は手の平が内側を向くのが正しくて下向きはおかしいし、そもそもあれはヴェロキラプトルじゃなくてデイノニクスだろう、とか。

つまり、学説よりもキャラクターを優先させたわけだが、それでいいのかスピルバーグ、とは言うまい。商売とはそういうものだろう。昔の姿で出ています、というわけだ。ウルトラマンの新作でいきなりあの銀ピカのゴムスーツではなく剛毛を生やした毛むくじゃら姿の巨人が出てきたら各方面からそれはウルトラマンじゃないだろうとの突っ込みが入るに違いない。それと同じようなもので、Tレックスもラプターもウロコ姿でなくてはファンが納得しないのだろう。

蒙古略奪8
 ネンドソーとしては例外的に最新学説を念頭に羽毛姿で造型してみたヴェロキラプトル。

ネンドソー的恐竜考④ 差別的ゴジラ型(カンガルー型)復元!に続く。

◇恐竜名鑑