個人がどんな姿の恐竜を愛しても自由だし、そんな個人の受けを狙うエンタメ方面がどんな姿の恐竜を提示するのも自由だろう。2021年公開予定の「ジュラシックワールド」最新作が、近年の恐竜羽毛説をさらりと無視して相変わらずのウロコ姿でTレックスやらラプターを活躍させるのも、まあ自由だろう。

しかしアカデミック方面がそれでもいいのか、と言いたくなる状況もある。医学好きの医学博士や化学好きの化学博士がいないとは言わないが、古生物学者には恐竜マニアがやたらと多いという話を聞く。天文学あたりと並んで、好きだから研究している学者ばかりなのだとか。いや、幸福感を持って仕事ができるのは結構なことですが、学問というものは好きでやることの弊害もある。手術が好き過ぎて患者の健康な臓器まで摘出したがる外科医がいたら、はた迷惑なことこの上なかろう。

子供の頃に「ジュラシックパーク」を観て古生物学者を志した博士が、ティラノサウルスやヴェロキラプトルの羽毛説を大真面目に学術論文で否定したりしているのだ。子供時代に刷り込まれたティラノサウルスの姿を愛するあまりウロコ姿に執着してしまっているからだろう。学説が好みに走るのはちょっと問題あるんじゃないか。

話のついでにティラノサウルスに唇があったかどうか問題にも言及しよう。水棲のワニに唇はなく常に牙を剥き出しているが、陸棲のオオトカゲの牙は唇に覆われ口の中に隠される。エナメル質は乾燥に弱いからだ。だから陸棲のティラノサウルスに唇がなかったはずはなく、牙剥き出しのヨダレだらだらだったはずがない。常時ヨダレを垂らしていれば脱水症状にもなるだろう。水中生活するワニだからこそ乾燥とも脱水とも無縁でいられるのだ。

実際まともな学者は唇があった説を採るし、ちゃんと唇のあるティラノサウルスを載せている図鑑もあるにはあるのだが、見たことのある人はわかると思うが、のっぺりとした間抜け面でさすがにこれはカッコよくない。だから「ジュラシックワールド」からNHKの「劇場版ダーウィンが来た・恐竜超伝説」(2020年公開)まで、ティラノサウルスはみんな牙をカッコよく剥き出しっぱなしである。

しつこいようだがエンタメ方面はそれもいいのだ。だが、「ティラノサウルスに唇はなく常時牙剥き出しだった」というトンデモ説が「学説」として「学会」でまかり通っているのは問題があると言わねばなるまい。これには刷り込みの究極とも言える宗教も絡んでくるようで、すなわちキリスト教圏の人はどうしても悪辣ドラゴンと恐竜を切り離して考えられずティラノサウルスは牙剥き出しじゃないと受け入れられないらしいのだ。

まあ好きにやってくれ。筆者は学者でも研究者でもないのでカッコよく牙剥き出しで造型させてもらうし、ついでに仁王立ち尻尾引きずりカンガルー型で造型させていただくのであった。

ところで1980年版の「ドラえもん・のび太の恐竜」だが、たまたま来日中のスピルバーグ監督が同時上映の「モスラ対ゴジラ」を目当てに入った劇場で鑑賞し、少年と異生物の友情と別れと成長に感銘を受け、かの「E.T.」の元ネタになったという逸話があるが、あれって本当なのか。

ディフォルメ集合

◇ネンドソー的恐竜考
①感覚が追いつかない!
②恐竜は爬虫類ではない!
③そしてジュラシックパーク!
④差別的ゴジラ型(カンガルー型)復元!
⑤アカデミック方面が心配だ!